死ぬのが怖い病と僕の対処法
小さい頃死ぬことを想像して泣きじゃくる子供がいるが、僕は30半ばにして「死ぬのが怖い病(タナトフォビア)」である。
一番この病気が起きやすいのは子供と同じように寝る前で、未だに発狂することがある。またすごく説明しにくいのだけど、寝ている最中に死ぬことが怖くなり起きて発狂することがある。
「人間は死ぬと思考が停止し自我がなくなる」という勝手に打ち出した持論に怯える。僕は幽霊を信じていないので。。。
どういうことか詳しくか説明したいけど、発狂しそうなので察してくれると幸い。
ちなみに死ぬのが怖い病と命名したのは、落語家の桂枝雀さん。
僕も好きな落語家の一人。松本人志や千原ジュニア、月亭方正などがテレビで名前を出すこともあるので落語家としては知名度が高いと思う。
西の枝雀、東の談志とも言われる天才落語家の一人だけど、枝雀さんは1973年に強度の鬱にかかって高座にも上がれなくなったのだそうだ。
この強度の鬱が死ぬのが怖い病なんだとか。
結局、枝雀さんはこの鬱が引き金となり自ら命をたった。
しかし、僕は精神科医にかかったことがあるけど「鬱の兆しもない」というお墨付きをもらっている。なんだろうアッパー系かな。
というより、「自殺したい」なんてぼやいたものなら、これが引き金になって死ぬの怖い病が発病する。
今のところ、治る兆しもない。死んで僕の持論がまちがっていたことがわかるまではわからない。あーこれ考えるだけで怖い。
唯一、対処法は気を紛らわせること。
スマホでyoutubeをみたりするのが一番いいが、死ぬのが怖い病が勝り気もそぞろで効果がないことがある。
そんなとき、僕の助けになるのが「ポップ」の言葉である。
ポップとはご存知「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」に登場する魔法使いだが、巷では「ポップ 名言」なんて検索ワードで検索されるほど、名言製造機である。
僕が子供の頃、九州だけに存在したコンビニ「スパー」でジャンプを立ち読みした時、このポップの名言に出会った。
それから30年近く「死ぬのが怖い病」が発病すると、この名言を思い浮かべることで気が落ち着かせることができている。
正確にはポップとポップの母の名言だ。大魔王バーンとの最後の戦いの際、ポップがこの名言を放った。
これである。
他の名言はどれもダメ。キリストの言葉もブッダの言葉も僕が怯える死の恐怖から助け出してはくれなかったが、このポップとポップの母の言葉だけが僕の心を癒やしてくれる。
当時僕は小学校高学年で、今よりも死の恐怖におびえて眠れないことが多々あった。
昼は学校、夕方からサッカー、塾。今よりもハードスケジュール。だけど、夜は死ぬのが怖くて眠れない。
そんな時、偶然スパーで読んだダイの大冒険のこの回、この言葉に出会った。
まず救われたのは、「ポップも死ぬのが怖い」ということ。
当時、父や母。誰に死ぬのが怖いといっても共感してくれることがなかった。せいぜい「ヨシヨシ」と慰められるくらい。
しかしポップは同じように死が怖いと思って泣いていたと言うじゃないか。
なぜ共感がここまで僕の心を癒やしたのか、おそらく「怖いのは僕だけじゃなかった」とう安心感だと思う。
そして、母の名言である。「しょうがないから頑張って生きるっきゃない」ということ。正直今思えば、大した事は言っていない。
ただ今まで一人で悩んでいた恐怖が僕だけじゃないとわかったので、すんなりこの言葉が受け入れられた。
そしてポップがこの言葉で立ち上がり奮起する構図。
これが「ポップも死の恐怖を背負いながら頑張っている感」を最大に活かし、ポップだけでなく僕も奮い立たせてくれた。
死ぬのが怖い病が発病すると未だににこのシーンを思い浮かべる。
するとスパーで立ち読みしている当時の僕に立ち返り、不思議と死への恐怖が薄れる。
併せて歳を取って理屈っぽく皮肉屋っぽくなったが根本は「子供のまま何だな」と痛感する。